47. 特許権には独占排他権だけでなく、標準化権も必要

特許制度の目的である「発明の保護を通じて産業の発達をはかる」に立ち返って考え ると、本当に特許権が独占排他権だけで十分であるとは思えません。
独占排他権は、競合者を市場から排除することが特許権者の利益につながるという思 想です。これは、競合者がいなければ特許権者の事業が成長したり、事業が継続でき るということを前提にしています。そこには、市場を拡大させることで特許権者の利 益をはかるという思想がありません。
確かに、独占排他権を基礎として、他者にライセンスを与えることで、競合者の存在 を許すということもできますが、ライセンスを与えるよりも、特許権を取得しない方 がもっと競合者を増やすでしょう。しかし、競合者が増えたら市場が拡大するかとい うと、そうでない場合もあります。
競合者が多数、乱立して、製品の入出力のインタフェース、マンマシンインタフェー スなどの標準化がされなかったり、用語の統一ができていなかったりすることで、消 費者を混乱させたり、関連製品の供給者の育成ができなかったりして、市場が拡大し ないということもあります。
市場が拡大するためには、標準化が不可欠です。特許権に、特許製品の分野における 標準化権(標準仕様提示権、標準策定参加権)を与えることで、市場の秩序ある拡大 をはかり、特許権者の利益と公衆の利益をはかり、産業の発達をもたらすということ も考えるべきだと思います。

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