341. 企業内知財人材の最重要スキル

企業における知財人材が企業に貢献するルートは大きく分けて3つある。

1. 知財権侵害リスクの低減
2. 知財権活用による市場シェアの拡大(そのための知財権獲得も含む)
3. 知的財産の進化促進と応用展開の促進による事業成長と利益増大

上記の3つのルートのどれについても、知財戦略能力が最も重要となる。

知財戦略能力とは、「業務の対象である知的財産または知的財産権の本質を抽出して簡単明瞭にその本質を表現し、抽出した本質と所属企業の目的と状況に基づいて、 その影響範囲や活用範囲やそれらの範囲内の各種具体的形態を認識し、認識した内容を簡明に表現し、認識結果に基づいた具体的で効果的な活動を組織化し、実行する能力」である。

この知財戦略能力が無いまま、各種手続きの知識やシステムを磨いても、予算や人員を投入しても、社内外の人的ネットワークを形成しても、役には立たない。
司令官や作戦計画を失った軍隊のように、烏合の衆となるからである。

この知財戦略能力の前半部分である「業務の対象である知的財産または知的財産権の本質を抽出して簡単明瞭にその本質を表現し、抽出した本質と所属企業の目的と状況に基づいて、 その影響範囲や活用範囲やそれらの範囲内の各種具体的形態を認識し、認識した内容を簡明に表現し」は、知財目利き能力と言える。
そして、後半部分は、戦略立案能力と戦略実行能力と言える。

知財戦略能力を保有しないままで知財業務を行なうと、次のような症状が発生する。
(1) 知財権の活用をほとんど行なわないし、行なっていなくても不思議に思わない。
(2) 予算とスケジュールと組織体制という社内資源の獲得の話をするだけで、目的や成果の達成に関心を持たず、達成しているかのような表現の工夫ばかりを行なう。
(3) 知財戦略と称するものを作成しても、普通名称と一般論ばかりを並べていて、具体性が無いので実行できない。

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