207.問題山積の連鎖による衰退を避けつつ、試練克服の連鎖による進化を図る

組織にしても、個人にしても、試練によって鍛えられると成長し、進化する。 したがって、あまりにも環境を整えすぎて、試練を経験できない組織や個人は成長したり、進化する 能力を持てなくなる。そして、ひ弱になる。 かといって、あまりにも厳しい環境に置き、基礎体力を消耗させてしまうと、問題を解決できる前に さらに、克服できない問題が発生して、問題山積の連鎖の中で、急速に衰退して滅びるということも おこり得る。

イノベーションは、問題を解決しようとして生じる面もあるが、イノベーションを実現するのは 組織にしても人間個人にしても、生体であるので、良く観察しながら、許容できる範囲の試練が、 適切なタイミングと順番で発生して、だんだんと成長と進化をもたらすような、環境を形成すると いうことが、重要であると思う。
現在時点での最適な状態を追い求めるあまり、問題や試練となるものを徹底排除すると、それは 過保護になり、かえって組織も個人も弱くなり、小さな問題や試練がきっかけで衰退や滅びに向かう 負のスパイラルに、はまりやすくなる。 そうならないように、組織も個人も適度に鍛えることが必要である。

そういう意味では、適度に矛盾や問題を残しつつ、準最適な状態を形成し、準最適な状態において、 残ったり新たに発生した矛盾や問題を自律的に解決するように誘導することが、必要と考える。 しかし、負のスパイラルの入り口となる状態に近づきつつあるかどうかには、常に注意をしておき、 負のスパイラルに入りそうな場合には、強制力を行使してでも、そこから遠ざけることも必要である。 イノベーションをもたらす組織にしても、子供や学生にしても、同じことだと考える。
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