206.意思決定ツールに潜む危険性

社内での合意形成のツールとして、PPMや3C分析、SWOT分析などが、企業内で使われているというの は事実です。しかし、それらのツールやフレームワークは、関係者の思考停止の原因にもなっていま す。特に、将来予測や因果関係の分析をおろそかにさせる効果があります。
たとえば、知財の分野では、請求項記載の技術を理解しての評価をせず、技術分野ごとの特許件数の 分布形状に基づいて、各種の分析をするという傾向を助長しています。そのためのツールがたくさん 出ています。

現在の、半導体産業はトランジスタの発明、その後のキルビー特許にあるようなICの発明を起源と しています。そのような技術の中身を理解して、その中身に基づいて、それの発展した姿を予測すれ ば、その時点でのICの発明の特許出願の件数がほとんど無くて、件数分布すら形成されていなくて も、ICという技術に基づいた技術戦略や事業戦略は構想できますし、件数分布が形成される前に、 構想しなければ戦略も効果が大変に弱まります。出遅れになるからです。

PPM等のツールを予測能力、分析能力、戦略立案能力、情報収集能力の不十分な人や組織が使用す ると、それは、使用した人や組織の思考を縛り、深い分析や本質の認識をさまたげて、表面的な底の 浅い認識のレベルでの合意形成を促進し、貴重なビジネスチャンスを逃したり、大きなリスクを見逃 す原因ともなる危険があると思います。
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