110. 官僚型の知財部員の行動パターンに注意が必要

知財立国が提唱され、企業においても知財が注目をあびています。しかし、知財業務は複雑な知的財産権法の 制度や、膨大な特許件数とその処理のための社内制度やシステムというジャングルの中で行なわれるものです ので、他の部署の人たちからはその実態が見えにくくなっています。
そのため、知財業務の世界には官僚型の 者が存在しがちになります。このような状況ですので、業務の最前線の知財部員が次のような官僚型の行動 パターンであると、知財の価値はほとんどなくなり、かえって事業や研究開発の足を引っ張るだけのやっかい ものになってしまいますので注意が必要です。

1. 説明を受けるまで行動しないし、調査もしない。情報は自分たちに「上がって来る」というように、 表現し、社内でお上意識を持っている。
2. 業務は放置と先送りを原則とする。放置と先送りの理由をさまざまに説明することには長けている。
3. 知財業務の専門知識も経験もなく、知財業務を外部機関に丸投げ委託するのみで、委託後の管理も 納入物のチェックもできない。
4. 業務上の困難が発生すると、それを乗り越える努力をせず、何か理由を見付けて業務を中止する。
5. 価値ある知的財産権がどれであるかを見極める能力がないし、価値ある知的財産権に本当は興味がない。
6. 事業を成功させたいという意欲がないので、事業成功のために知財を活用したいとも思わない。
7. 様々な会議に参加したがるが、会議のための準備もしないし、会議の結果も活用しない。
8. 責任回避への関心が高く、責任回避のための行動術や文章術に長けている。

どのような組織においても官僚型のメンバーの発生は、組織壊滅の予兆と言えます。官僚型の知財部員が 発生し、そのような者が増えてくると、付加価値がなく、単なる形式的な事務作業が増加します。 また、新しい試みは、根拠薄弱なリスクの指摘を官僚型のメンバーから行なわれ、つぶされることが多くなり ます。官僚型の知財部員に注意が必要です。


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