6. 基本特許取得の戦略

特許業務のスピードと、事業のスピードは大きく異なります。通常、特許業務は半年単位でしか進行しません。 出願から半年で特許庁から何らかのアクションが来ることは稀です。特許庁から何らかのアクションがきて、 それに応答しても、特許権が得られるのは速くても半年先です。訴訟をしても、判決は半年では得られません。 審判請求をしても、半年では結論は得られません。
これに対して、事業は1週間単位、遅くても1月単位で動いていきます。事業の進む方向や、行動の優先順位が、 1月単位で変わります。このようにスピードの異なる事業に特許権を生かすことは、難しいことですが、方法が ないわけではありません。待ち伏せ方式です。事業の変遷のストーリを論理的に構築することで、事業の主戦場が どの機能になるのかがわかるようになります。ただし、事業の変遷のストーリは一本道にはせず、枝分かれのある ものにすることが大切です。そして、各枝分かれのポイントごとに、その枝分かれの原因と目的を明記することで、 枝分かれのポイントにおいて、基本特許がとれます。基本特許は待ち伏せの大きな網です。網を事業の進展よりも 数年前に特許出願し、事業開始のための企画段階ではその網が特許権として存在しているようにすることが重要です。 この戦略のポイントは、事業の変遷のストーリをいかに論理的に導き出すかということです。しかも、世の中の流れ から見ると、小川のせせらぎか川面の小さな波であるようなものに惑わされないで、適切なストーリを得ることが重要 です。
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