357. Internet of Things(IoT)の時代の事業開拓のために突破すべき思考パターン

IoTの時代の事業開拓では、これまでの時代に有効であった次のような価値観や常識などの思考パターンが、大きな障害となっている。

(1)自動システムを開発する際には、まずは手動で全体を動作させてみて、問題抽出と対策の実施をした後に、手動システムを自動化するという手順が必要である。
(2)物事を進める際には、不確定な要素をできるだけ排除すべきである。
(3)入力数も出力数も巨大な大規模システムは、入力と出力をいくつかの部分に分割することで実現できる入出力数の小規模なシステムの多数個の並列化で実現できる。
(4)他社が作成するであろう機能やサービスを自社のシステムの機能やサービスを構成する一部として取り込むことを前提としたシステムは不確定性が大きすぎる。

これらの思考パターンの背景には、「システムの立ち上げコストは大きいので、立ち上げの失敗は許されない」や、 「人間は対象の全体像を把握でき、適切な問題解決策を発想できる」という暗黙の前提が存在している。

IoTの世界は、あらゆるものがインターネットに接続されて、多様なものの多様な組み合わせ結合が低コストで実現可能となり利用可能となるのであるが、 上記のような思考パターンは、そのようなIoTの世界によるメリットを享受することの障壁となっている。

この障壁の突破にまずは必要なものは、「不確定な要素の多数の結合によって、信頼性と安定性のあるシステムをローコストに実現し運営するための方法を示す理論」である。

イノベーションは、さまざまな条件が偶然にそろったときにしか成功しないものである。
多くのイノベーションの種は、条件の一部が欠落したまま、鶏と卵のループから抜け出せなくて組織内で消滅している。
イノベーションの種が複数個、組織の壁を越えて出会うことでイノベーションの条件がお互いに揃って、鶏と卵のループから脱出できるという場合もある。
IoTは、時空の壁を越えてイノベーションの種を低コストで結合できるものにもなるので、組織の壁を越えた結合を促進する機能を追加すれば、 IoTはイノベーションを大きく加速することになる。

組織の壁を越えた結合を促進する機能の1つが、データ流通市場である。
データ流通の中で特に重要なのがセンシングデータ流通である。
対象の制御に利用できるセンシングデータを流通させるものである「センシングデータ流通」は、さまざまな対象のインターネットを介した有機的な結合による価値創造を可能とすると言う特性がある。
【参考サイト】
1.確率ネットワークと知識情報処理への応用
https://staff.aist.go.jp/y.motomura/DS/

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