353. 能力と機能と、発明の本質の関係

能力と機能とは異なる。たとえば、テレビ受像機は、テレビ信号を受け取って動画と音声を出力する能力は持っているが、 電源とアンテナに接続されていない状態では、その能力が発動されておらず、テレビ受像機としての機能が存在しない状態である。
テレビ受像機に電源からのエネルギーとアンテナからの情報が注入されると、テレビ受像機の内部メカニズムによって、エネルギーと 情報が相互作用しながら、所定のパターンでエネルギーと情報が流れることで、動画と音声を出力するようになる。
このことは、すべての存在物における能力と機能、機能の本質についても言えることであるので、一般化して説明してみる。

能力: 流体を注入する1個以上の入り口と、流体が噴出する1個以上の出口を持ったパイプに対応する。

機能: パイプの中を入り口から入り、出口から噴出する流体が実現する作用に対応する。

本質: そのパイプの中を流体が流れることで生じる作用がもたらす効果の中の着目したものとは無関係なもの(例:パイプの表面の模様や色)を捨象して 記述したパイプの機能に対応する。

パイプに流体を流し込まないと機能は発現しない。

パイプは、流体の流れから一定範囲の自由度を奪い、流体による再現性のある特定パターンの流れを形成する。

流体としては、エネルギー、物質、情報、力がある。

流体の新たな流れのパターンの創造が、発明である。
上記の発明の本質と、下記のInternet of Thingsの本質を合わせて、起業および等価変換理論について考えてみた。


あらゆるものがつながる世界「ハイパーコネクテッド・ワールド」
http://jp.fujitsu.com/vision/2014/chapter1/01/


【起業と等価変換理論】

上記のサイトに掲載のデータの一部を紹介すると、起業コストも2000年の500万ドルから、2005年の50万ドル、2009年の5万ドル、2011年の5千ドルと10年間で1000分の1と急減しており、 この段階になると開発者が自ら起業し始めることができる。
あらゆるものがインターネットにつながるInternet of Thingsの世界では、原因系も結果系もインターネットに接続されているし、等価な本質を有するあらゆるものも インターネットに接続されている。
そうなると、新分野での問題の解決策を、他分野の既存物での解決策の本質に求めると言う等価変換理論は、その適用が従来よりも容易になるとともに、 大きな効果をもたらすようになると考える。

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