350. 戦略立案のためには、対象領域における現象の背後にあるメカニズムへの洞察とメカニズムの活用が必要である

事業戦略、技術戦略、知財戦略の立案のためには、対象とする分野や領域において、単に、ある時点での状態を静的に記述するだけでなく、 潜在的に秘めている可能性が開花した場合に実現できる理想状態を示し、その理想状態を実現するうえでの促進要因と阻害要因を明確化することが重要である。
そして、促進要因と阻害要因を中心としたダイナミックな因果関係のメカニズムを、SDモデルで記述する。(参考サイト1)
ただし、促進要因も阻害要因も直接的に観測することが困難な場合が多い。そのような場合には、促進要因や阻害要因を含めた各種の要因に対して 適応して最適化の活動をしているモノの活動を観測して、促進要因と阻害要因を間接的に観測する。(参考サイト2)

促進要因を促進し、阻害要因を除去する方策を他社に先駆けて獲得した企業や企業グループは、大きな競争力を獲得する。
この大きな競争力を獲得できた者には、事業環境からのプラスのフィードバックループの効果が働き、 さらに成長し競争力をつけていき市場の成長を主導していくことができるようになる。

このような主導者となることが狙える分野を抽出し、どのような促進要因と阻害要因に着目するべきかということを含めた戦略が必要と考える。

促進要因と阻害要因の両者ともに、技術の観点、ビジネスモデルの観点の両面からの解明が必要である。

事業創造は、多様な因果ループを自社の内外に含んだ複雑な因果関係構造の中で行なうものである。促進要因が次の促進要因を生成するものは、 正の連鎖という名で知られる因果ループであり、阻害要因が次の阻害要因を生成するものは、負の連鎖という名で知られる因果ループである。

同一の事象に対しても、その周りに正の連鎖と負の連鎖の両者が存在していることが一般的である。
たいていの場合、正の連鎖と負の連鎖がせめぎあいのフェーズから、どちらかが他方に比較して優勢になることで成長軌道に乗ったり、 逆に衰退軌道に乗ったりする。正負のいずれの因果ループが優勢になるかを決めるものが、分水嶺と言われる成功決定要因(KFS)でもある。

このようなダイナミックな構造を、組織や事業環境は有するので、単にある時点での市場や技術の静的記述だけでなく、 そこにどのような因果ループが存在しているのかを記述し、さらには因果ループ間のせめぎあいの構造を解明して、 せめぎあう正負の因果ループのどちらが優勢になるかを決定づける成功決定要因(KFS)までも記述することが、戦略立案では必要と考える。

そして、戦略は、戦略マップで記述する。ただし、バランススコアカードのように財務の観点などにこだわる必要は無い。
要は、主要な観点を入れておれば良いだけである(参考サイト3)

【参考サイト】
1. 因果ループからSDモデルを構築する方法について −システム思考8基本型の考察ー
http://www.muratopia.org/JFRC/sd/documents/Archetype.pdf

2. 対象への最適化活動の結果の観測を通じて観測困難な対象の状態を把握し、特許戦略を練る
http://www.patentisland.com/memo112.html

3. strategy map
 http://en.wikipedia.org/wiki/Strategy_map

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