112. 対象への最適化活動の結果の観測を通じて観測困難な対象の状態を把握し、特許戦略を練る

例えば、町に住んでいる人たちの生活スタイルを直接に把握することは大変に困難です。しかし、町に住んで いる人たちの生活スタイルに最適化する活動を毎日行なっているシステムを観測することで、町に住んでいる 人たちの生活スタイルを知ることができます。
例えば、コンビニエンスストアに並べられている雑誌の種類、食料品の種類などを観察することで、その町の 人たちの大体の生活スタイルの傾向を把握できます。また、バス路線と、バスの発着時間間隔を見ることで、 その町の人の流れの方向やボリュームが把握できます。コンビニエンスストアに並べられる商品の種類や量は POSシステムによって、その町の人の生活スタイルに対して最適化されていますし、バス路線や発着時刻は 、その町の人の流れに対応して、ゆっくりとですが最適化されるからです。
特許戦略は、経済活動空間に特許戦力を配置し活用する計画です。そのためには、バス路線図や時刻表から人 の流れを把握するように、ビジネスや技術の流れに最適化して行なわれる何らかの活動の表現を把握しなけれ ばなりません。
人間の場合、行動の前には計画やアイデアがあります。計画やアイデアは、様々な情報を集積して形成され、 さまざまな段階での評価にさらされて行動に結びつきます。企業は、このような行動を機密にしますが、計画 やアイデアを持っている人の用いる用語や、注意を集中する情報の分野に影響を与えます。それらは、色々な ルートから外部に現れます。
注目対象の事業分野や技術分野の責任者や、キーパーソンの言動、現れた学会、展示会、発表した論文、つき あい始めた団体、最近になって加盟した団体、購入している雑誌や新聞などは、その事業分野や技術分野に おけるビジネスや技術の流れを示しています。
また、実施例の記述の薄い公開特許公報は、技術の流れの先頭の小さな飛沫のようなものです。本格的な技 術開発が始まる前の段階であり、アイデアが出たばかりなので実施例が薄いということになっている場合もある からです。このような情報と、キーパーソンの動きの分析に、技術や事業の発展のストーリの考察を重ねてみること で、技術や事業の流れが見えてきます。このような技術や事業の流れの先行きに最適化する活動をしているもの に、様々な分野での将来を先取りするテーマを扱う研究会やセミナーがあります。後追い型の研究会やセミナー ではなく、先取り型の研究会やセミナーを観測することができれば、特許戦略の効率と効果は大きくなるでしょう。

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