346. 組織崩壊の主原因は利・楽という価値観にあり

組織崩壊の原因として、マニュアル化が挙げられることが多い。成功した過去の手法を、組織内に維持拡大するために、ドキュメントに記載するのである。
確かに、マニュアルを作成すると、成功した手法の知識は組織内に拡大できる。
しかし、その手法の目的や適用限界や他の手法などを考えずに、しかも成果に対するこだわりも無く機械的にマニュアルに書いて いることをできるだけ骨抜きにして楽をしながら実行したがる人が多い。

これらの人の価値基準は、自分自身の利と楽であるから、マニュアルに記載の手法が目的としている成果が達成されなくても気にしないのである。
組織の価値基準の柱が利・楽の場合、その組織では野中氏によるSECIモデルは、なかなか機能しない。SECIモデルを機能させるためには、 組織の構成員の価値観が利・楽ではなく、真・善・美・愛である必要がある。

徹底的なマニュアル化がされた活動をしている組織にもかかわらず滅びないものは無いだろうか? 
宗教組織だ。経典とかバイブルをもとに、各教団の細かな規律があるにもかかわらず、組織が拡大しているし、数千年も継続している。なぜだろうか? 
宗教の価値基準は利・楽ではない。通常の宗教の価値基準は真善美愛である。やはり、利・楽という価値観が組織崩壊の原因なのか? 
そうなると、利・楽を価値基準としている資本主義は崩壊の原因を内包していることになる。資本主義のもとでも例えば、立石一真や本田宗一郎のような偉大な人物が企業を創業している。
真善美愛の価値観で偉大な創業者が創業しても、そこに利楽の価値観がはびこると、組織は滅びる。根本は価値観の間の戦いなのであろう。
組織が崩壊に近づくにつれて、組織の構成員は倒錯した行動規範を有するようになる。 すなわち、真・善・美・愛の価値観で偉大な創業者が創業することで、社会に継続的に価値提供できる組織が形成されると、自分自身では価値創造はせずして組織内の他のメンバーが創造した 価値を自分のために取り込みながら、利・楽を追求するコバンザメのような人間集団が次第に組織内に勢力を拡大していく。 コバンザメのような人間集団が勢力を拡大していくにつれて、問題先送り能力,問題隠蔽能力,成果偽装能力,責任回避能力,日和見能力,前例踏襲横並び能力を鍛錬した者が 組織の主導権を握る立場に立つようになる。
その結果、組織は社会に対して価値提供ができなくなり、やがて確実に崩壊する。
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