282.プラスのフィードバックループ構造を内包した新規事業領域への注目が特許戦略には必要

インターネットや携帯電話の爆発的な普及には目を見張るものがある。また、DVDやパソコンの高性能化と低価格化にもすごいものがある。
どちらも、生産と市場拡大の間にプラスのフィードバックループ構造の関係が内包されていて、爆発的な市場拡大と技術進化が展開されたことで 共通している。

このプラスのフィードバックループ構造が、一定方向の変化を加速していくのである。
そして、これらの爆発的な市場拡大の影響をプラスに受けて成長している周辺業界と、マイナスの影響を受けて衰退して消滅に向かっている周辺業界 があるし、それらの周辺業界の製品に特化して使用される技術では、進化しているものと、衰退して忘れ去られて消滅に向かっているものもある。

特許戦略は、製品やサービスで実施される発明が存在していてこそ、意味と役割を持つものであるので、当然に上記のような 「商品やサービスの生産と消費の間を結ぶ因果関係構造において、原因と結果の間にプラスのフィードバックループ構造が内包されている新規事業領域」に 注目すべきである。

加速度的に成長していく事業分野や技術分野は、その初期の頃は変化の速度が小さく、注目したり参加している人や企業は少数である。 そして、そのような初期の頃はその新規分野を既存事業や既存技術の観点からみると、とるに足らない商品であったり、性能や信頼性が著しく不足していて 到底、大きな市場を築けるとは思えないものである。
それが、初期の頃は少しづつ関心を持つ人や企業を増やしながら、技術的にも商品的にも改善されていき、少しづつ成長率を増加させていく。
そして、ある時にその新規分野の製品や技術の成長率が、既存製品や既存技術の成長率を上回る時(ブレークポイント)を迎える。 しかし、ボリュームの絶対値ではその時でさえ、まだまだ既存製品や既存技術のボリュームから見たら微々たるものである。

このような加速度的な成長を行なう構造を内包した新規事業領域であって自社の経営戦略と整合がとれる領域を、その成長率が競争関係にある 既存事業領域の成長率を上回る時点(ブレークポイント)の前までに抽出して、そこに自社の経営資源を集中投下して、事業と技術と知的財産を 一体的に充実させていくことが企業の成長と存続には必要であるし、特許戦略の成功のためにも特に必要である。
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