280.顧客価値と顧客満足度、機能とコストの関係

顧客価値は、顧客が価値を認める「顧客の状態」または「顧客にとって重要な対象の状態」の評価値として、定性的には形容詞で表現でき、定量的には数値で表現できる。
顧客満足度は、顧客価値を顧客が獲得するための提供資源(金銭、時間、空間、労力)および自分の有する資源の喪失可能性である「リスク」の大きさの合計に対する、 獲得した顧客価値の大きさの割合で測ることができる。
そして、前記の提供資源の量とリスクの量の合計は顧客が負担するコストである。


顧客満足度 = 顧客価値/(提供資源量+リスク量)= 顧客価値/コスト

事業において商品やサービスを媒体として顧客に提供するものである「機能」は、「顧客の状態」または「顧客にとって重要な対象の状態」を変化させる作用をもたらす能力である。
「顧客の状態」または「顧客にとって重要な対象の状態」を良い状態に変化させることができれば、その機能は顧客価値を有することになるが、 良い状態に変化させることができなければ、その「機能」に顧客価値はない。
商品のライフサイクルの前半段階、すなわち導入期と成長期では、その商品の顧客価値を大きくすることに活動が集中し、顧客価値または顧客価値をもたらす機能のレベルが競争の主軸となる。
商品のライフサイクルの後半段階、すなわち成熟期と衰退期では、その商品の顧客価値は大きくならない。すなわち、顧客満足度の分子は大きく出来ないので、顧客満足度の 分母を小さくすることに活動が集中する。
すなわち、商品のライフサイクルの後半段階では、顧客満足度を大きくするために、顧客が顧客価値を得るために負担するものである(提供資源量+リスク量)を小さくすることに、 活動が集中する。
顧客満足度の分子である顧客価値を大きくするためには機能の追加や機能の高度化のための開発行為が必要となり、そこから新たな知的財産が発生する。
顧客満足度の分母である(提供資源量+リスク量)を小さくするためには、機能を運ぶ媒体としての商品やサービスのアーキテクチャの変革や、商品やサービスのQCDの改善が 必要となる。商品やサービスのアーキテクチャの変革からも新たな知的財産が発生する。

【参考サイト】
(1) 要求発明学入門(1)
(2) 要求発明学入門(2)
(3) 要求発明学入門(3)

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