265.特許ドキュメントの情報構造と、特許戦略立案のための思考プロセスの間の深い関係

特許ドキュメントを構成する主要な情報項目は、次のとおりである。
【発明の名称】
【特許請求の範囲】
【技術分野】
【背景技術】
【発明が解決しようとする課題】
【課題を解決するための手段】
【発明の効果】
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【実施例2】

これらの主要な情報項目は、事業発展のための特許戦略を立案する場合に必要な思考プロセスにおいて、調査・分析および 構想を必要とする事項と重なる部分が多いことは、驚くべきことであるし、知財人材を戦略人材に育成する方法も示唆している。

特許戦略立案では、まずは対象とする事業分野を選択する。これは、【技術分野】を記述することに、ほぼ対応する。

次に、対象事業における重要な顧客価値を明確化する。これは、【発明の効果】を記述することに、ほぼ対応する。

次に、顧客価値を実現するための機能の構造を明確化する。これは、【課題を解決するための手段】を記述することに、ほぼ対応する。

次に、顧客価値を実現するための機能の構造と、顧客価値との間の因果関係を分析する。 これは、【発明を実施するための最良の形態】において、【課題を解決するための手段】の作用が【発明の効果】をもたらす構造を記述する ことに、ほぼ対応する。

次に、顧客価値の実現において寄与度の大きな機能要素を1個以上、事業発展のために他社と競争するポイントとして抽出する。 これは、【特許請求の範囲】における【請求項】においてジェフソン形式で請求項を記述する場合に、特徴的な構成要素を明確に記述することに対応する。

次に、他社との競争のポイントの観点から、自社および他社および市場の状況を調査分析して記述する。 これは、【背景技術】および【発明が解決しようとする課題】を記述することに、ほぼ対応する。

次に、自社が目指すべきポジションや他社が向かうであろうポジションを、競争のポイントの観点から記述する。 これは、【特許請求の範囲】における各種の【請求項】を記述することにほぼ対応する。

次に、自社が目指すべきポジションに向かうための具体的な方策をリスクとチャンスおよび強みと弱みなどの観点も入れながら記述する。 これは、【実施例1】を記述することにほぼ対応する。

さらに目指すべきポジションに向かうための他の方策もオプションとして示す。これは、【実施例2】を記述することにほぼ対応する。

最後に、特許戦略のキーポイントを簡単なキーワードを用いて表現した戦略サマリーを示す。これは、【発明の名称】を記述することにほぼ対応する。
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