263.商品での競争軸を見分ける一つの数学的手法

まず、分析対象の商品カテゴリーを決める。そして、その商品カテゴリーの商品の仕様項目の中で数値化できるものを商品価格を含めてリストアップする。 そして、リストアップされた仕様項目についてサンプル商品の数値データをそろえる。
このようにしてそろえられた数値データは、縦軸がサンプル商品番号で横軸が商品価格を含む仕様項目となり、1つのマトリックスを構成する。
(そのようなマトリックスの例として、価格.comでの冷蔵庫の例がある。)

このマトリックスを用いて、価格との相関係数の絶対値が大きな仕様項目を抽出する。相関係数が0.7以上の仕様項目ではその仕様項目の値が大きいほどに商品価値 が高くなることを示しており、相関係数がー0.7以下の仕様項目では、その仕様項目が小さいほどに商品価値が高くなることを示している。
すなわち、価格との相関係数の絶対値が大きな仕様項目は競争軸である可能性が高いと言える。
もしも、単独の仕様項目では価格との相関係数の絶対値が大きなものが無かった場合、価格に対する他の仕様項目との間の重回帰分析をすることで、価格を 向上させることの出来る仕様項目の組み合わせバランスを規定する係数が判明する。重回帰分析で得た仕様項目のバランスの軸が競争軸となる。
価格を大きく向上させることのできる仕様項目の中で、他社よりも小さなコストで大きく価格を上げることのできる仕様項目があれば、その仕様項目は自社の強みを表現 しているものと判断できる。小さなコストで大きな価値創出ができるからである。
また、仕様項目の中で、価格との相関係数の絶対値がほとんどゼロに近いものがあり、自社の商品のその仕様項目の数値が他社の商品のその仕様項目の数値に比較して 高すぎる場合には、自社の商品はその仕様項目についてはオーバースペックとなっていると推定できる。 もし、オーバースペックとなっている仕様項目が見つかった場合、その仕様項目の数値を下げることで可能となるコストダウンで得た余裕コストを、価格を大きく向上させる ことのできる仕様項目の数値を向上させて、顧客価値を向上させる方向に振り向けることで、その商品全体の顧客価値のコストパフォーマンスを上げることもできる。
このようにして、商品を構成する仕様項目の中の優先順位を常に更新し、それを自社や他社の特許への注力度の決定要因の1つにすることも可能である。
このような考え方で、商品での競争軸を見分けることが可能であり、特許戦略に活用できる。
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