228.上位概念が同一の新機能,同一機能の新型アーキテクチャでの実現にイノベーションのネタ有り

自動車も船も列車も移動機能という上位概念からみると同じである。上位概念で機能を表現すると 同じであるが、飛行機は自動車や船や列車とは全く異なり、3次元空間での自由な移動機能を持つ。 自動車は地表面に沿った2次元平面上を移動する移動機能を車輪を用いて実現するので、自動車から みると、飛行機は大変に大きなイノベーションの実現となる。
しかし、地表面に沿った2次元平面を移動する機能であっても、細かく分割されたボディが一列に 連結されたものが、ボディをくねらせながら地表面を移動するアーキテクチャで実現された 「蛇型車両」は、通常の車輪付き自動車からみるとアーキテクチャの変革であり、イノベーション となる。
機能が同じでもアーキテクチャが変わると、その機能を構成する複数個の要素機能の性能の間の トレードオフ関係が変化する。その結果、旧型のアーキテクチャのままでは到達できなかった状態を 新型アーキテクチャでは到達でき、新しい市場を開拓できる場合が多い。

アーキテクチャが同じ範囲においては、そのアーキテクチャで実現する機能を構成する複数個の 要素機能の性能の間のトレードオフ関係が同じであるので、複数個の要素機能のどれを重視するかと いう優先順位付けの違いによって、棲み分けが発生するが、市場の大きな分野には多数の参入がある ので、大きな市場では同一アーキテクチャ間の価格競争が発生することになる。

価格競争を避けて、利益を獲得しようとするなら、同一機能を新アーキテクチャで実現して、旧型の アーキテクチャに発生する要素機能間のトレードオフ関係のもとでは到達できなかったような高い価値 の状態を実現し、その状態に対応する新たな市場を獲得するイノベーションを実現すべきである。


要素機能の性能の間のトレードオフ関係が発生する原因には、次のようなものがある。
(1)要素機能の間で資源を取り合う場合:
 @全体の重量が一定の場合における要素機能の間での保有重量の取り合い。
 A全体の体積が一定の場合における要素機能の間での占有体積の取り合い。
 B全体のエネルギー消費上限値が一定の場合における要素機能の間でのエネルギー消費量の取り合い。
 C全体の処理時間の上限値が一定の場合における要素機能での処理時間の取り合い。
(2)要素機能の間で最適環境が異なる場合:
(3)要素機能の出力が、他の要素機能の最適環境を崩す場合

上位概念が同一の新機能の実現が出来て、その新機能が旧機能でカバーされる多くの市場に対応できる 場合、さらに大きなイノベーションが実現できる。
特許戦略では、アーキテクチャの変革、上位概念が同一の新機能の出現を意識し、他社によるそれらの 実現の前に自社がそれらのイノベーションを実現し、そのイノベーションの実現に伴って創造される 各種の発明の特許権を獲得すべきである。
特許戦略メモに戻る      前ページ      次ページ

(C) Copyright 2009 久野敦司(E-mail: patentisland@hotmail.com ) All Rights Reserved

戦略のイメージに合うフリー素材の動画gifを、http://www.atjp.net からダウンロードして活用しています。