224.知的財産を用いたイノベーション創造が知財業務の王道である

実体経済や社会に価値提供をせず、投機の仕組みを複雑化させて金融工学という名前で推進してきた 米国型資本主義が破綻した。

やはり、現実世界における価値創出を行ない、創出した価値の提供の対価を得るという本来の仕事を することが重要だというまともな世界にもどってきた。知財の世界でも現実の世界における価値創出 を行ない、価値提供の対価で生きていくという、まともな活動を広げていかねばならない。
知財業務の柱は、やはりイノベーション創造に大きく貢献することだと思う。知的財産権法の解釈や 判例解釈では、イノベーション創造への貢献はできない。優れた知的財産を抽出し、その優れた知的 財産の実体経済や社会における活用を促進し、優れた知的財産相互の組み合わせや優れた創作者の 優遇などを通じて、さらに優れた知的財産の創造を促進して、イノベーションをさらに創造して、 社会に価値提供をしていくことが、知的財産業務の王道であると思う。知的財産権の活用も、イノベ ーション創造に貢献するものにすべきである。

特許法の教科書的な書籍に、独占排他権を用いて先行者利益を確保するということが記述されている。 しかし、これは実体経済を知らない法律家の机上の空論である。顧客価値を提供しない領域を独占 排他権で囲んだところで利益確保はできないし、顧客価値を提供できる領域であっても顧客に存在と 価値を認知してもらえるように市場を育成しなければ利益を得ることもできない。
また、たいていの場合、独占排他権の行使にパワーを使うよりも、新たな顧客価値創造にパワーを使 う方が事業利益の確保と社会への貢献ができることが多い。

知財業務は、知的財産権法に基づいた権利の創造と活用を主体とする業務ではなく、知的財産を用い たイノベーション創造業務であるとすることが、健全であり王道である。
知的財産権の創造と活用は、イノベーション創造という目的の範囲内でのみ限定的な意味があるだけ である。

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