20. 基本特許の発明者の給与は博士号保持者の給与よりも上にすべき

企業や国における発明促進政策には、発明表彰というものがあります。発明協会の行なう全国発明表彰は有名です。 社内で発明表彰を行なっている企業も多くあります。しかし、良い発明をした発明者であるという理由で、給与が上がっ たり、昇進するということは、ほとんどの企業では行なわれていないのではないかと思います。 それに較べて、技術開発の成果を企業内において示してはいなくても、博士号の保持者であるというだけで、初任給が 最初から高いということが一般的になっています。
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/8012/itirann.htm

その博士号の取得の内実を、博士号の取得者が反省も込めて、告白した記事がありました。
http://takizawa.gr.jp/lab/doctor/
博士号は、ある程度の教養を身につけており、研究論文も何本かは出したということを示していますが、本当に独創性の ある研究をしたとか、社会に役立つ研究をしたとかを示しているものではないと思います。 それに比して、自社または他社で実際に商品やサービスにおいて実施されている発明をしており、しかもその発明で 特許権を取得している場合、発明者には独創性と社会に役立つことをしたという実績があります。そのような発明者を、 人事上においても適切に処遇することが、企業においては企業競争力の強化、国においては産業競争力の強化にもつな がるはずです。現在は、職務発明の譲渡対価の引き上げにばかり話題が集中していますが、広く把握すると、博士号の 保持者と基本特許の発明者の給与のバランスを検討し、基本特許の発明者の給与を博士号保持者の給与よりも上にす べきという議論もあって良いと思います。
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