186.特許権の公益的な行使

事業者は、競合を市場から排除して市場における自社のシェアを増大させて、自社事業の拡大をはかることを 目的として、特許権を行使することがあります。
事業者の得る事業収入は、市場規模×自社シェアに比例しますので、市場規模を拡大させたり、市場規模の 縮小を防ぐための特許権の活用も事業者にとっては有益であると思います。

市場規模を拡大させるための特許権の活用の方法として、標準化の推進というものがあります。
マシン間のインタフェース,マンマシンインタフェースの標準化を、特許権を活用して実現できたらならば、 標準の持つ市場拡大効果の恩恵で、市場が拡大することが期待できます。

市場のイメージを悪化させたり、市場に混乱をもたらすような不良製品を市場から排除するために、特許権を 活用することは、市場規模を縮小させたり、消滅させないために重要です。
例えば、有毒物質を含んだ製品や、容易に壊れて火災や爆発の原因となるような製品を製造したり販売して いる企業に対して、積極的に特許権などの知的財産権を行使して、それらの製品を市場から排除することが 可能です。

有毒物質を含んでいる製品や、容易に壊れて火災や爆発の原因となるような製品は、市場のイメージを悪化させ る原因となります。そのような製品について、そのような不具合や事故などと、そのような製品との因果関係 の立証が困難を極める場合もあります。
因果関係を立証または反証しようという真摯な努力をその企業がしていれば別ですが、被害者や消費者への 対応が不誠実であったり、情報隠蔽や虚偽の情報を発表しているようであれば、司法的な決着のつくまでの 数年から10年も放置していると、その市場は全体として大変な悪影響を受けます。
そのような場合、特許権などの知的財産権を自社の事業のシェア拡大のためというよりも、シェアの土台となっ ている市場の防衛のために権利行使することは、大義名分のたつことであり、積極的に行なうべきものと考えま す。
消費者や顧客に被害を与える製品やサービス、従業員や労働者の人権を侵害して製造されたり提供されている 製品やサービスを、特許権の行使によって市場から排除することは、市場からマイナス要素を失くすこと であり、市場や社会にとってはプラス作用となります。プラスサムゲームです。

市場の健全化を通じて公益の実現にも寄与するための、特許権の公益的な行使という形態があり、それは 特許権行使の有力な形態になると考えます。

【参考サイト】
1.中国要注意食品リスト
2.中国製食品32種を警戒リスト入り=保健省
3.米国の輸入品安全性対策と、中国製品リコール問題
4.<中国製品>携帯の電池、3種に「爆発の危険性」!粗悪電池のメーカーが判明―上海市
5.中国製品のクオリティー
6.中国の奴隷工場
7.中国の水質汚染 深刻化
8.中国人の特徴
9.中国由来製品の危険性を主張したマークが米国で現われた(下図参照)
China free
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