165.企業における知財業務の目的

売り上げをいくらにするとか、利益率をいくらにするということだけを目標として掲げる企業が多くあります。しかし、これはおかしなことだと思います。 例えば、野球選手が今シーズンの抱負は?と、聞かれたときに貯金を1億円増やすこと、給料が3億円を越え るようになることと答えたとしたら野球ファンはびっくりして失望するでしょう。ホームランを50本打つと か、消える魔球を投げるとか言ってもらいたいと野球ファンは考えます。
メーカなら、例えば「今年は、人間のように歩いて作業も出来るロボットを実用化して、介護ロボットの時代 を切り開く」という抱負を述べるのならわかります。しかし、売り上げ1兆円とか利益率20%というものだ けを目標にして、どのような価値を社会に提供するかを言わないというのでは、事業家ではなく、単なる投資 家であると思います。

どうも、企業が投資家の視点中心に経営される傾向が強くなっているように思います。顧客から見ると、企業 の売り上げや利益率などはどうでも良いことであり、どのような価値を、どれだけの規模で、どのように提供 するかが関心事だと思います。
確かに、収益をあげないことには企業の維持はできないし、税金の支払いを通じた社会貢献もできません。
しかし、企業の存在目的は企業の維持ではないし、税金の支払いでもないはずであり、文明の発展への貢献、 社会への貢献、顧客への貢献、企業を構成する仲間の生活と夢への貢献が存在目的だと思います。
したがって、知財業務の目的は収益向上ではなく、企業の存在目的への貢献となると考えます。

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