67. 特許戦力の活用の形態
 特許戦力の活用の形態は、防御、攻撃、威圧、宣伝、提携の5形態である。特許戦略は、この5形態に大別でき
  る。この5形態では、最も上策は「提携」である。最も下策は「防衛」である。提携では、自分の事業領域を侵
  食される事もなく、自分の特許権について実施権を与えるのでもなく、補完関係にある相手先との協力によって
  、自分の事業領域の拡大や、自分の事業競争力の増大が図れる。従って、提携が最も良い。宣伝と威圧は、これ
  によって競合企業が事業撤退したり、顧客が自社の特許権を尊重してくれて、自社の製品を優先的に購入してく
  れるならば、特許戦力の活用にかかる投資の割には効果が大きいことになる。しかし、宣伝や威圧だけでそのよ
  うな効果があがる事は少ない。また、提携の場合のような自社の事業領域の拡大効果はない。攻撃では、自社の
  事業領域に進入する他社を排除することもできる。しかし、攻撃を完遂するには多大の労力と時間がかかるし、
  最終的には相手先に実施権を許諾するという形での和解になると、相手先を自社の事業領域から排除するとの目
  的は達成できないし、実施権を許諾した特許権は、その時点からは相手先には武器とはならなくなる。攻撃をす
  ることによって、新しい事業領域が生まれたり、新しい技術を得られるわけではない。攻撃をする場合には、短
  期間に完遂し、実施権を与えない事を基本方針とすべきである。防御とは、自社の事業領域に進出してくる相手
  があったとしても、自社の特許権は何も用いずに、相手から特許権で攻撃を受けた場合にのみ反撃に特許権を用
  いるというものである。これでは、事業を特許権で守るという特許権の基本機能が発揮できていないので最も下
  策である。
 特許戦力の活用の形態は、防御、攻撃、威圧、宣伝、提携の5形態である。特許戦略は、この5形態に大別でき
  る。この5形態では、最も上策は「提携」である。最も下策は「防衛」である。提携では、自分の事業領域を侵
  食される事もなく、自分の特許権について実施権を与えるのでもなく、補完関係にある相手先との協力によって
  、自分の事業領域の拡大や、自分の事業競争力の増大が図れる。従って、提携が最も良い。宣伝と威圧は、これ
  によって競合企業が事業撤退したり、顧客が自社の特許権を尊重してくれて、自社の製品を優先的に購入してく
  れるならば、特許戦力の活用にかかる投資の割には効果が大きいことになる。しかし、宣伝や威圧だけでそのよ
  うな効果があがる事は少ない。また、提携の場合のような自社の事業領域の拡大効果はない。攻撃では、自社の
  事業領域に進入する他社を排除することもできる。しかし、攻撃を完遂するには多大の労力と時間がかかるし、
  最終的には相手先に実施権を許諾するという形での和解になると、相手先を自社の事業領域から排除するとの目
  的は達成できないし、実施権を許諾した特許権は、その時点からは相手先には武器とはならなくなる。攻撃をす
  ることによって、新しい事業領域が生まれたり、新しい技術を得られるわけではない。攻撃をする場合には、短
  期間に完遂し、実施権を与えない事を基本方針とすべきである。防御とは、自社の事業領域に進出してくる相手
  があったとしても、自社の特許権は何も用いずに、相手から特許権で攻撃を受けた場合にのみ反撃に特許権を用
  いるというものである。これでは、事業を特許権で守るという特許権の基本機能が発揮できていないので最も下
  策である。
(1)「防御戦略」
 「防御」とは、他社から特許権による攻撃を受けたときに、損害を最小ににするために行なうものである。そのための戦術としては、次のものがある。防御戦略ではこれらを適切に組み合わせて、良いタイミングで活用する。
  a.相手の攻撃を受け流す。
    例えば、特許発明の内容の技術的な矛盾をついて、権利範囲が不明との主張をする。または、侵害しないとの主張をする。または、完全に無視する。交渉を引き延ばして、時間稼ぎをして形勢の変化を待つ。
  b.相手の特許権を無効にする。
    公知技術により、相手の特許権をつぶすのである。
  c.政治力を用いる。
    自社が相手の顧客であるならば、その立場を主張して相手の攻撃を止めさせる。または、自社との関係が親密であって、相手の顧客である会社などがあれば、その会社に仲介を依頼して、攻撃を中止させる。
  d.対抗特許でのクロスライセンスまたは攻撃の消滅を目指す。
(2)「攻撃戦略」
   「攻撃」には、差し止め、損害賠償請求、実施料の徴収などの民事的手段と、特許侵害罪の適用のための告発という刑事的手段がある。「攻撃」のためには、相手商品の侵害の立証と特許権の有効性の確認が事前準備として必要である。また、攻撃の目的としては競合企業をマーケットから排除するというもの、競合企業の価格競争力を低下させるというもの、競合企業から実施料収入を得るというものがある。また、攻撃の相手としては、競合企業そのもの、競合企業のディーラー、競合企業の顧客、競合企業への部品・材料の供給業者がある。商品のマーケットでは競合しない相手が、攻撃の対称なる事もある。この場合は相手は、自己の特許権の売り込み先であり、特許権という商品の顧客となる。
(3)「威圧戦略」
   自社の特許戦力の誇示によって、自社への特許権での攻撃や自社製品のマーケットへの参入などの攻撃を、抑
      止する事である。このためには、特許戦力の宣伝や過去の「攻撃戦略」の成功が必要である。戦わずして、
      勝つという結果が得られることを理想とする。
(4)「宣伝戦略」
   自社の特許戦力や特許に表れた技術力を積極的に宣伝して、次の効果を狙う。
   a.顧客が自社の競合企業に対して、宣伝された特許戦力についての対策を求める。(競合企業に対する間接的な攻撃となる)
   b.自社に特許発明を用いた商品分野での発注が増加する。
   c.特許発明の技術分野での技術標準の制定を主導できる。
(5)「提携戦略」
   他社の技術と自社の技術を組み合わせて、新たな事業を開始するための提携の重要な要因となる。有力な特許権を保有しておれば、提携相手との契約条件も自社に有利になる。
【特許戦争の相手は誰か?】
第1に自社に特許権での攻撃を加えてくる者である。
第2に自社の商品の模造品を製造したり販売する者である。
第3に自社商品のマーケットへ新規参入してくる者である。
第4に自社商品よりも価格や品質や機能で優れた商品を製造したり、販売する者である。
第5に自社が進出しようとしているマーケットに先に参入している者である。
第6に自社の特許権を侵害していて、特許戦力が自社よりも弱い者である。
【特許戦争での戦力阻害要因】
特許権を行使する側に働く戦力阻害要因には、次のものがある。
(1)相手に特許権の行使をする事による世間の評判の悪化に対する懸念。
(2)特許権の行使をして、裁判をしても、裁判に勝てない可能性もあるのではないかという懸念。
(3)今、強硬な姿勢で相手に特許権を行使した場合、将来において相手に有効な特許権が発生した時に、相手から同じように強硬に特許権を行使されて、自分が苦しむのではないかという懸念。
これらは、特許権を行使する側が、ほんの少しの傷でも負いたくないと、弱腰になっている場合に、特に強く作用する要因である。
このような弱腰の特許権者は、相手方に少しでも反撃能力が備わると、特許権の行使を止めるための良い口実ができたという事で、喜んで特許権の行使を中止する。また、特許権の行使を阻害する要因が少しでもないかと、調査ばかりをする。阻害要因が見つからねば、決断を先送りするために、あらゆる口実を利用する。特許権者が企業である場合に、特許権行使は100%成功しなければ、権利行使の決定者が責任を問われるという減点主義の人事管理をしている企業では、最終決断に伴う責任を回避するために、あらゆる事を理由として挙げて、多くの者が特許権の行使の最終決断者になることを回避しようとする。このような状態になったら、どんなにその企業が強い特許権を保有していようが、相手企業が1件の特許権を保有しておらずとも、特許戦力はゼロに等しい。
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