98. 請求項の評価基準

請求項の評価基準としては、次のものが考えられます。

特許法第36条第5項では、「特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しな ければならない」としています。
そして、特許法第36条第6項では、請求項について次のよう述べています。
    1.特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
    2.特許を受けようとする発明が明確であること。
    3.請求項ごとの記載が簡潔であること。
特許法の上記の規定は、請求項の最低限の基準として、参考になります。

請求項も、実施の形態も発明を記述しますが、記述レベルが異なります。請求項は、概念設計のレベルで発明を記述 しますが、実施の形態では詳細設計のレベルで発明を記述します。
概念設計書としての請求項の記載をもとに、当業者が詳細設計書である実施の形態を作成可能に記述することが必要 です。
また、請求項は理解可能に記述される必要があります。
理解可能な請求項の条件は、現象面からは次のように言えます。
(1)当業者が、請求項の記載をもとに、実施の形態を書けると認識できるものであること。
(2)請求項の記載からみて、その発明から技術的な効果が得られることが認識できるものであること。
(3)請求項記載の発明と、公知技術の包含関係が認識ができるものであること。
(4)請求項記載の発明を機能要素と、機能要素間の関係として図形表現できること。

理解可能な請求項は、次のような条件を満たす必要があると考えます。
(1)請求項が構成要素と構成要素間関係で記述されていること。
(2)請求項の記述に用いられる用語が辞書で定義されていること。
(3)構成要素間関係が、構成要素の属性と矛盾していないこと。たとえば、画像表示手段という構成要素が、 エンジンとの間に「画像表示手段からガソリン燃料を供給する」という入出力関係を記述されていると、それは 矛盾となる。画像表示手段はガソリン燃料を外部に供給するという属性を持たないためである。
(4)請求項の構成要素に対応する技術,製品,公知文献,CADデータモジュールのどれかが存在しており、請求 項をもとにした詳細設計が可能であること。
(5)請求項が暗黙または明示の文法で記述されており、その文法に基づいて理解できること。

【参考サイト】

(1) 特許請求の範囲・明細書の書き方
(2) 出願書類〈特許〉の書き方について(その1
(3) 特許請求の範囲の書き方

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