53. 選択と集中に役立つ知財人材の思考パターン

「他社がやっているような事業はするな」,「特許がとれないような技術 開発はするな」,「独創的な技術で事業をしよう」,「先行者利益を確保する ような事業をしよう」という経営方針を、よくききます。 これらは、知財戦略にからんだ方針だと思います。 「知財を使って事業で成長するための選択と集中」というものは、知財を 経営方針に明示的に組み込んだ表現だと思います。
多くの企業が選択と集中ということをやって、競争力の核に資源を集中しようとしています。 この競争力の核となるもの(技術であったり、ビジネスモデルであったり、 従業員の行動原理であったりします)を明確に表現するには適切な文章が 必要です。
競争力の核となる部分をぼんやりとしか表現できていないと、選択も集中も ぼんやりとしかできない事になると思います。 知財人材は、発明の本質を請求項として明確に表現したり、表現したものを 具体化した実施例と対比したり、請求項を評価したりしています。 その意味で、選択と集中によって資源を集中すべきコアコンピタンス(競争力 の核)の抽出や表現に知財メンバーや知財部は適しているのではないでしょ うか?
コアコンピタンスを設定したうえで具体的な事業をするという事と、請求項 を設定したうえで実施例を作成するという思考パターンは非常に似ています。 知財人材は、このような思考パターンを当たり前のように体得しています。 営業のメンバーや商品開発のメンバーは、具体論にすぐに入ってしまい、 抽象論ではあるが重要なコアコンピタンスの議論や選択と集中の議論がうまく できない場合が多いと感じます。 また、問題解決のスタイルも知財メンバーの場合は発明的問題解決を常に 行なっていますので、既存の資源をそれだけで使用するのではなく、問題解決 のために、既存資源を組み合わせて解決するという発想も自然に生まれます。
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