293.イノベーションのコア(中核)

イノベーションは:
志や理想をもとに価値創造のために想像力や予想を用いながら不確定性に挑み、新しい構造やプロセスを創造する行為である。

したがって、確定した結果を確定した価値観で評価することを任務としている世界が、イノベーションに関与する度合いが大きいほどにイノベーションは阻害され、組織は活性を失う。

「高い志」はイノベーション実現をあきらめないという執念と、イノベーション実現のためにはリスクを引き受けるという自己犠牲も、もたらす。
「強い情熱」は、イノベーション実現のために時間を忘れて働いたり、イノベーション実現のために行なう行動のスピードを速くする。
イノベーションを促進する金銭的支援策や、知的財産権制度、研究開発促進制度、 MOTに基づいた各種の施策などは豊富に存在している。 しかし、それらは全てイノベーションの中核ではなく、補助要素である。画期的なアイデアや技術ですら、イノベーションの中核ではなく、補助要素である。

イノベーションの中核は「イノベーションを起こす人の心」である。
どのような心がイノベーションの中核になるのか?

利益と安楽を駆動力とする人間活動は、困難や壁の前で容易に停止する。
利益と安楽を駆動力とする者は、未来の確たるビジョンが無く、目先の利益と安楽を求めるので、局所最適のポジションがあると、そこに安住し、 利益や安楽が損なわれる方向への活動をしようとはしないからである。
真・善・美・愛を駆動力とする人間活動は、困難や壁があると、それを自分達を高める試練と感じ、それを乗り越える努力をする。
そして、乗り越えて到達した新たな境地の価値を、乗り越えた困難や壁が高めてくれる。利益や安楽を求めているわけでは無く、真・善・美・愛を求めているので、 他との協力による新たなイノベーションを積極的に実行できる。
そのため、自分にとっても全体にとっても一時的に利益と安楽が減少しても、実現すべき真・善・美・愛の増大のために、関係者が協力してイノベーションを実現できるので、 高いレベルの利益や安楽が結果として全体にもたらされる境地にも到達できる。 真・善・美・愛とは、全体の高いレベルの利益と安楽でもあるからである。

真・善・美・愛を実現しようという志こそがイノベーションのコア(中核)である。
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