291.スマートで客観的で無意味な手続きが知財業務にはびこる仕組み

知的財産業務には多種類の手続きが伴なう。法律に基づく手続きもあれば、社内規則や使用しているITシステムに基づく手続きもある。
手続きには目的があるのだが、手続きが複雑化してくると手続きの目的を忘れ、手続きを実行することで実現すべき成果も意識せず、 手続きのやり方や、手続きを規定する法律の解釈や、手続きの実行責任の所在や使用する予算項目ばかりを意識するメンバーが増加してしまう。

そして、知財業務による成果を達成することには関心がなくなり、いかに労力や費用をかけずに手続きをするかばかりを考えてしまう。
また、知財業務での法的手続きに関する国家資格である弁理士資格を取得することにも大きな関心を持つようになる。

そのうちに、知的財産権の権利内容を読むことも理解することもなく、知的財産権の書誌的事項だけを機械的に処理して、客観的で標準化 された無意味な数値データを小さな労力でスマートに処理して、きれいな報告書を大量に作成するようになる。
これが、知財業務においてスマートで客観的だが目的を忘れた無意味な手続きが、はびこる仕組みである。
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