256.発明の本質抽出能力の鍛錬と試験の方法

知的財産業務の中で、特許業務は中心的な位置付けとなるが、その特許業務において最も重要な能力が発明の本質抽出能力である。
この能力は、出願時においては良い明細書と図面を作成するために必須であるし、中間処理においても必須である。
しかし、知的財産権法のテキストは山ほどあるが、発明の本質抽出能力の鍛錬や試験のためのテキストは見当たらない。

発明の本質抽出能力の方が特許実務では特許法の知識よりも格段に重要である。これは、野球選手にとって、バットでボールを打つ能力の方が 野球のルールの知識よりも重要であるのと同じである。

発明の本質抽出能力の鍛錬と試験に、次の(1)から(5)の方法(Hisano Method)が効果的である。

(1)上位の請求項の1個以上の構成要素に関して内的限定をした下位請求項を独立項形式で示し、そこから元の上位の請求項を再現させる。

(2)上位の請求項に対して1個以上の外的付加の構成要素を追加した下位請求項を独立項形式で示し、そこから元の上位の請求項を再現させる。

(3)請求項を示し、その請求項の発明で実現できる「発明の効果」を述べさせる。

(4)請求項と、その請求項の発明で実現できる「発明の効果」を示し、その発明の効果を達成できる他の請求項を述べさせる。

(5)「発明の効果」をもとに、その発明を実施することで可能となると思われる商品やサービスの事業を述べさせる。

上記の(1)から(5)において、@公知文献、A現在の競合製品または競合企業の将来技術戦略、B現在の自社製品または自社の将来技術戦略 、を前提条件として、色々な組み合わせで示すということで、さらに高度な鍛錬や試験とすることもできる。

【参考サイト】
1. 発明の本質を見抜くこと
2. 「強い特許」取得に向けた日立の知財活動 の第6ページ
発明の捉え直し(発明の本質の抽出)
3. 「ビジネスのための知財講座」の 第7回 [ 発明から特許へ〜権利取得のために ](2009/6/30)の部分


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