22. 技術進化のストーリと、社会進化のストーリ

特許業務の事業への貢献形態にはさまざまあります。特許権の取得によって、事業に特許を活用できる機会を つくるというもの。他社特許のリスク評価と対策により、事前に他社特許によって事業利益が失われる確率を低減 させるというもの。ライセンシングや訴訟によって特許権を競合他社に対する自社事業の優位性増進に使用する というもの。知的財産権条項を含む契約の締結において、リスク管理やチャンスの増大を図るというものなどです。 これらは、どれも事業に貢献する確率が低く、アクションを行なってから実際に事業貢献効果がでるまでの期間が 早くて半年、遅ければ5年や10年先になるというものです。 それに対して、技術開発や商品開発に関して、その技術や製品の目的から必須の機能構造を技術者との討議など を通じて論理的に導き出したり、営業やマーケティング担当者との討議を通じて、顧客のニーズの構造や社会の 進歩の方向性を論理的に導き出し、それを技術進化のストーリと、社会進化のストーリとしてまとめあげ、そこから 特許出願する発明を生んだり、発明を評価するだけでなく、技術戦略や事業戦略にフィードバックすることは、即座に 事業貢献できるものです。しかも、事業貢献の確率もボリュームも大きなものになります。 なぜなら、技術進化のストーリや社会進化のストーリとして納得性が高く、抽象化されて汎用性が高く、発明として 具体化されて理解しやすい例を伴う形にすると、何が重要な技術要素であるのかとか、どこから事業を開始すれば 将来の勝ちにつながるのかということが明確に見えてくるので、組織がそれに向かってまとまってスピーディに行動 できるからです。言わば、前方を照らすヘッドライトと、進路を示す地図を与えるようなものです。
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