219. 不適切な目標値設定はイノベーションを殺す

商品にしても、事業にしても、ライフサイクルがあり、導入期→成長期→成熟期→衰退期というように 一般的には推移する。
もしも、導入期にある事業に対して、成熟期にある事業の目標値設定と同じ一律の目標値設定をする と、導入期の事業は負のスパイラルに陥り、消滅してしまう。
例えば、導入期の事業に対して、成熟期の事業が設定すべき純利益率や純利益額の目標値と同じ目標値を、 設定すると、導入期の事業は開発投資や生産設備投資ができなくなり、悪くすると人員削減をする 必要すら発生する。導入期では、まだ売り上げの伸びは小さかったり、売り上げが低水準で低迷して いながらも、市場形成や競争力基盤の形成のために、赤字の中でも開発費や人件費をかけていくこと が必要であるためである。

イノベーションは、導入期においては、売り上げが少なくても、将来ビジョンを実現するために、投資 を十分にしながら知恵と工夫で未来を切り拓いていくものである。
イノベーションの促進のためには、ライフサイクルの各段階に応じた適切な目標設定の変更をしなければ ならない。事業の将来ビジョンを持たず、事業のライフサイクルも認識せず、単に経理指標だけで目標設定 するような低レベルのマネージメントをする者は、幼児に対して「働かざる者、喰うべからず」という 論理を適用するようなものである。



上記の図の出典: http://www.fpohkuni.com/LEC%20Economic%20Capital%20Dec%202007.htm
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