192.特許権侵害訴訟をすることは本当に負担が大きいのか?

侵害訴訟の金銭的負担と労力の負担が大変なので、特許権侵害訴訟を提起して侵害を止めさせたり、 損害賠償金を得ることを最初から考えないとか、できるだけ避けることが賢明だという常識が広がっ ているように思います。特に、書物だけで大変さを知った人にその傾向が高いように思います。
しかし、実際の負担の規模感を知り、侵害訴訟によってメリットが得られる確率やメリットが得られ た場合のその大きさと影響と負担を具体的に比較して、決断することが必要と思います。

1件の日本特許出願を基礎として、米国とヨーロッパと中国に出願する外国特許出願を1ケースと すると、日本での特許権侵害訴訟1件の費用と労力の負担の大きさは、外国特許出願の5ケースから 10ケース分に相当します。
社内の関係する部門や人数、社外の特許事務所などとの関係の広がりの規模感からみても、決着が つくまでの期間からみても、だいたいこんな感じです。

外国特許出願を10ケースするよりも、事業上の必要がある場合には、日本で特許権侵害訴訟をするほうが コストパフォーマンスは大変に高いし、知財組織を引き締める効果もあると思います。
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