1.官に対する政治の優位性を確保する切り札

国家行政組織法第18第2項の「事務次官による監督」条項により、事務次官が大臣から省内の監督権限を奪い、 国家公務員法第55条第2項の「任命権の委任」条項が大臣の省内での人事権を奪っている。

1. 本来は大臣が国民の代理人として、担当省庁の各部局及び機関の事務を監督しなければならないのに、国家行政組織法 第18条2項で「事務次官が監督する」と規定していることが大問題である。

これは、「国民主権のもとで構成された内閣の大臣が、国民の代理人として行政を制御する」という民主主義の根幹 を帳消しにしてしまう規定である。

従って、事務次官というポストを完全に廃止することが必須である。事務次官というポストを廃止できないのであれば、このポストを実質的に廃止するため、 事務次官の職務を定めた国家行政組織法第18条2項を、次のように改正すべきであると考える。

「事務次官は、行政情報を国民に開示するために省務又は庁務に関係する情報を公開し、各部局及び機関に対して大臣が 行なう指揮・監督に必要な情報を大臣および副大臣および政務官に報告する。」

2. 国家公務員法第55条第2項の「任命権の委任」条項が、大臣の人事権を奪う規定となっているので、この条項の 廃止が必要である。


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