PCML Open Editorの使用方法に関するHelpファイルです。
更新日: 2008年1月18日

【PCML Open Editorの目的と位置付け】

PCML Open Editorを開発した目的を、PCMLの目的に立ち返って説明いたします。

まず、PCML(Patent Claim Markup Language)、請求項記述言語は、請求項をコンピュータにも人間にも理解しやすく 記述するための言語です。これは、SMIPS特許戦略工学分科会で開発の途上にあります。

請求項をコンピュータにも人間にも理解しやすく記述するということは、良い構造を持った請求項を記述するというこ とです。せっかく請求項記述言語を開発しても、その言語で悪い構造の請求項を記述できてしまうのであれば、何のた めの言語かということになってしまいます。

良い構造の請求項をコンピュータにも人間にも理解しやすく記述できれば、請求項に関連した様々な業務が効率的に正 確に行なえるようになりますし、特許権の事業への活用が促進されますし、無用な特許紛争も防止できます。さらには 、請求項を問題解決用知識情報として利用できるようにもなります。

このような良い構造の請求項をコンピュータにも人間にも理解しやすく記述するための言語である請求項記述言語を、 XMLにおけるタグおよびタグの間の関係規則という形式で実現しようとしています。

しかし、良い構造の請求項とはどのような請求項であるのかという問題と、請求項記述言語が持つべきタグとしてはど のようなものが良いのかという問題と、タグ間の関係規則はどのようなものが適切なのかという問題があります。

これらの問題を解決するためには、良い構造の請求項に関する仮説や請求項記述言語の持つべきタグについての仮説、 さらにはタグ間の関係規則に関する仮説を設定した上で、その仮説の妥当性を、さまざまな請求項についての実証実験 で検証する必要があります。

しかし、この実証実験をするためには、実証実験の参加者が同一の仮説のもとで並行して多くの請求項に対して、仮説 の適用をすることができるためのツールが必要となります。
そして、そのツールは、良い構造の請求項の仮説や、請求項記述言語の有するべきタグやタグ間の関係規則についての 仮説を体現するものでなければなりません。

今回のPCML Open Editorは、まさにこのようなツールを実現するために開発しました。
そのため、請求項に自動的にタグ付けするとともに、タグ混じり請求項を処理して項分け記載の平文請求項を自動生成 したり、請求項の構造図をグラフィック表示したり、請求項の評価値を算出して表示するということをします。

ということは、PCML Open Editorに埋め込まれている請求項の評価基準が検証の対象であるとともに、PCML Open Editor が使用するタグの種類や使用の方式の是非を議論し、その妥当性を検証することが、請求項記述言語の検証となってい きます。

すなわち、PCML Open Editorが出力する請求項の評価値の妥当性を、本分科会のメンバーで議論し、良い構造の請求項 とはどのような条件を満たすものであるのかを、少しづつ明確化していくことが第1歩だと思います。
議論の中で、明確化された良い構造の請求項の条件を数式で表現できれば、それをPCML Open Editorの請求項評価値算 出プログラムの中に反映して、次の議論のための実証実験に活用すれば良いと思います。

このようにして、良い構造の請求項とは何かということがわかってくれば、良い構造の請求項を記述するためのタグの 種類が次に議論の対象となり、明確化されていきます。良い構造の請求項の表現に必要なタグの間の関係規則は、その 次に実験や議論の上で検証されていきます。これらの議論の成果は随時、PCML Open Editorの中にプログラムとして取 り込んでいきます。

そうすることで、さらに請求項記述言語の妥当性が増して行きます。

すなわち、まず第1歩はPCML Open Editorの出力する請求項評価値の妥当性の議論を、人間が請求項に与える評価値と 、PCML Open Editorが出力する請求項の評価値を比較して行なうことから開始することが必要ということになると思い ます。

【操作上のHelp】
1. PCML Open Editorの使用のための操作の手順
操作手順は、大きく2つの系統に分かれます。 第1の系統は、処理対象の平文請求項を茶色枠内のテキストエリアに入力して、処理を開始する手順です。
第2の系統は、既存のPCML化請求項ファイルを読み取って、PCML化請求項表示エリアに表示させて、処理を 開始する手順です。
(第1の系統の説明)
第1の系統の手順では、処理対象の平文請求項を一文字づつ、茶色枠内のテキストエリアで編集しながら入力すると いうこともできますし、既存の請求項のテキストをコピー&ペーストによって入力するということもできます。
どちらの方法であっても、平文請求項を1つ入力できたならば、「請求項の分析」ボタンを押します。
そうすると、一挙に「PCML化請求項」,「請求項の表層分析による診断結果」,「参照関係グラフ」, 「請求項Tree構造」が自動生成されて表示されます。
これらの分析結果を見ながら、請求項の診断結果が良くなるように、茶色枠内のテキストエリアの請求項を編集して さらに「請求項の分析」ボタンを押すということを繰り返していくという操作が、第1の系統の操作です。

(第2の系統の説明)
既存のPCML化請求項ファイルを読み取ることから始める操作です。この操作の実行のためには、PCML化請求項 ファイルが、あなたのPC上に存在していることと、このPCML Open EditorのコピーがあなたのPC上に存在している ことが必要ですので、そのような状態になっていることをまずは確認します。
次に、読み取るべきPCML化請求項ファイルのファイル名をメモしておきます。その後に、あなたのPC上に存在 しているPCML Open Editorのコピーを起動します。
起動したら、画面上の「PCML化請求項ファイル読取」ボタンを押します。
そうすると、ファイル名を入力するエリアが表示されますので、PCML化請求項ファイルのファイル名を入力して、 OKボタンを押します。その際、「.html」というファイルタイプの部分は入力しません。
正しくファイル名が入力されますと、読み取るべきファイルが自動的に開きますので、開いたファイルの最下段に あるボタン「pcml_open_editorにデータ送り込み」のボタンを押します。このボタンを押しますと、PCML Open Editor のPCML化請求項の表示エリアに読み取ったPCML化請求項が表示されます。
ここまでの操作で、PCML Open EditorにPCML化請求項ファイルが読み込めたことになります。
次に、PCML Open Editorの「←表示に反映→」ボタンを押します。そうすると、このPCML化請求項が自動処理され て、茶色枠内の平文請求項、「請求項の表層分析による診断結果」,「参照関係グラフ」,「請求項Tree構造」が 自動生成されて表示されます。その後の操作は第1の系統の操作と同じです。

2. PCML Open Editorの画面を印刷した場合に、グラフィック表示の部分が印刷できないことへの対策
Internet Explorerの場合:
[ツール][インターネットオプション]の詳細設定タブで「背景の色とイメージを印刷する」をチェックしておく。

Netscape Navigatorの場合:
[ファイル][ページを設定]で「背景を印刷」をチェックしておく。
【請求項の評価値の算出アルゴリズム】
2008年1月18日現在のアルゴリズムを説明します。
注)表層分析とは、請求項の意味内容にまで立ち入らない範囲で、請求項の内部構造を分析するものです。

請求項の評価値算出に用いる特徴量は、次のとおりです。
p1:構成要素の個数
p2:最大の文字列長を持った構成要素における文字列長
p3:孤立要素数
p4:終端要素数
p5:連結部分グラフの個数
p6:中間要素数

これらの特徴量を用いて減点部分の計算をします。

mscore1 = max(p1-5,0)*2; // 構成要素数が5個を越えている個数を減点対象とする。
mscore2 = max(p2-50,0)*0.2; // 50文字を越える構成要素の存在を減点対象とする。
mscore3 = p3*10; // 孤立要素の個数に比例した減点をする。
mscore3 = mscore3+max(p4-1,0)*20; // 2個以上の終端要素による減点を付け加える。
mscore3 = mscore3+max(p5-1,0)*20+max(p6-3,0)*5; // 2個以上の連結部分グラフと、4個以上の中間要素による減点を付け加える。

表層分析による総合評価値を算出します。
totalscore = max(100 - mscore1-mscore2-mscore3,0); // 100点満点から減点部分を差し引くが、最低点は0点とする。

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