4.事業仕分けの判断指標に「官僚系人件費比率」と「丸投げ事業比率」を採用すべき

民主党主導で行なっている事業仕分けに対して、科学技術予算の削減に対する大反対という切り口で批判が巻き起こっています。
確かに、効果が見えないとか、世界一を目指す必要が無いなどという単純な理由は、不確定性や可能性との戦いである科学技術 に適用するのは無理があります。まして、法律や経済の分野の議員が科学技術に関する洞察も知見もなしに意思決定をすること は原理的に不適当です。

しかし、科学技術予算であっても、他の分野の予算であっても、無駄が多く潜んでいるのも確かです。
それらの無駄を摘出し、削減するための、確固として納得性のある判断指標を早期に開発し、その指標を公開しながら事業仕分け をすることが、民主党の事業仕分けという画期的な仕組みを根付かせるために必須だと思います。

確固として納得性のある判断指標として、【官僚系人件費比率】と【丸投げ事業比率】を用いることができると思います。

官僚系人件費比率とは、仕分け対象事業の政府予算が最終的な出口に支出されるまでの全プロセスの中で、 官僚系人員(現役公務員、公務員OB、独立行政法人や公益法人などの準公務員、公務員OBや準公務員OBの役員または参与クラスの者の比率 が20%以上の法人の職員)の人件費の総額が占める割合と定義します。

また、丸投げ事業比率とは、仕分け対象事業の執行の過程に関与する法人において、その法人が受けた事業の中で、自身が現実の事業を行なわず、 外部に事業の現実の実行を委託している事業の割合(金額ベース)と、定義します。

このような【官僚系人件費比率】と【丸投げ事業比率】を各事業ごとに算出し、これらについての明確な基準値を示し、その基準値 を上回る値で過去において執行されてきたり、基準値を上回るかどうかが不明というような不明朗な形態で執行されてきたものは、 基準値を下回ることを保証できる明確な説明なしには事業予算を認めないというようにすれば良いと思います。
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