職務発明制度に関する討議の記録
特許の部屋の掲示板での議論を保管のため、このページに掲載しています。
職務発明と対価 投稿者:ペンクロス  投稿日: 9月15日(日)23時19分39秒 味の素の元社員が、開発品に対する報奨金(1000万円)が少なかったとして、20億円を 請求する訴訟を起しました。どうなんでしょうね〜? 青色発光ダイオード訴訟」の判決が19日にあるようですが、今回は@元社員も会社 も特許を受ける権利が元社員に帰属することを知っていた、A報奨金制度があった、 点で異なります。 まあ常識的には味の素が勝つでしょうけど、元社員が勝訴するようなことがあると、 企業は大変なことになりますねえ。 やっと、特許のネタを書けました。ほっ。
青色発光ダイオード訴訟判決 投稿者:ペンクロス  投稿日: 9月20日(金)23時55分15秒 昨日9/19に中間判決が出ました。特許権は会社に帰属すると判断されたようです。 若干、私も誤解していた点がありました。判決文で面白かった点が4つあります。 (1)職務発明の社内規定があった点 以前、私は中村教授側の主張を中心に読んでいたので、当時、日亜化学に職務発明に関する 社内規定がなかったと勘違いしていました。 しかし、出願時に1万円、権利化できた時に1万円という条件で、従業員から会社に特許を 受ける権利を譲渡する社内規定があったようです。 (2)イニシャルの鉛筆書き署名とシャチハタ印による譲渡証の有効性 中村教授は、特許を受ける権利の譲渡を無効にしようとして、わざと譲渡証に鉛筆書きで 「N」のイニシャルで署名し、シャチハタ印を押したようです。 しかし、本人に譲渡の意思があったので、鉛筆書きの署名であろうと、シャチハタ印で あろうと有効であると判断されました。 今回の裁判の原告は、「N」となっています。笑えます。 (3)職務発明であった点 どうやら、中村教授は会社から青色発光ダイオードの研究中止を書面で指示されていたよう ですが、クビ覚悟で研究を続け、成功させたようです。 したがって、中村教授は業務以外の発明であるから、職務発明ではなく、個人の発明であり、 自分の特許権だと主張していたようです。 しかし、会社の設備や部下を使っていたので、裁判では職務発明であると判断されました。 (4)対価はもらえそうな点 今回の中間判決では、特許権は中村教授のものではなく、日亜化学のものであるとされました。 中村教授は社内規定に則り、日亜化学に特許を受ける権利を譲渡したと判断されたわけです。 しかし、中間判決の中で、中村教授は対価を受け取れることを示唆しています。すなわち、 社内規定では、出願時に1万円、権利化された時に1万円の対価が支払われることになって いるが、強行規定である35条(職務発明)の対価は裁判所で判断されるものであると 述べられています。 おそらく中村教授は、後半の判決で、相当の対価を受け取れることになると思います。 (5)感想 中村教授は以前NHKの特集で、青色発光ダイオードの発明者として紹介されていました。 とても真面目で、私利私欲のない研究者といった感じで紹介されていましたが、判決文の 中に書いてある中村教授の発言を見ていると、かなりの変わり者だったようですね。 こういう人じゃないと、大発明は出来ないんだなあって思いました。 この流れで行くと、社内規定に対価が規定されていても、裁判で対価を争うことができる ような感じですので、味の素の元社員も相当の対価を受けられる可能性が出てきましたね。
発明者はもっと報われるべきです 投稿者:特許島民  投稿日: 9月30日(月)00時08分50秒 私も実は60件以上の特許発明をしています。私の発明がなければ、高密度実装基板の検査ができないという状況ですので、本来は私の発明の方が産業へのインパクトは青色発光ダイオードの発明よりも大きいと思っています。 しかし、会社の発明規定の改訂版を私が作ってしまった関係もあり、自分の所属する会社が気に入っていることもあり、中村教授のような請求ができません。中村教授がうらやましい。 http://www.PatentIsland.com
職務発明と対価(その2)/レスです! 投稿者:ペンクロス  投稿日: 9月30日(月)20時34分27秒 【特許島民さんへ】 お久しぶりです。ということは、特許島民さんは、研究畑から知財部門に 移られたのですね。おそらく、多く見積もっても 出願時60件×1万円=60万円 特許時60件×1万円=60万円 合計120万円程度のお小遣い程度の見返りだったのではないでしょうか? 数年前までは、売上に貢献してもボーナスに毛が生える程度のプラスαでしょうし、 特別賞与を受けたとしてもお世話になった方々に配分して、結局手元に残るのは ビール代程度だったのではないでしょうか? どの会社も本格的な報奨金制度を導入したのは、ごく最近ですからね。 お気持ちお察しいたします。 でも、特許島民さんが作成された発明規定の改訂版は、発効日以降の成果に適用 されるんですよね。是非、退職してから、過去の成果について請求してみては いかがでしょうか? 煽ってます(笑)。 問題は会社を気に入っていらっしゃる点ですね。円満退職したいですもんね。 味の素の事件では、会社側にすれば100%勝つことが使命でしょう。 もし、僅かな金額でも元社員に支払うことになれば、今後訴訟は増えるでしょう。 職務発明に対する正当な対価は、国の検討課題でもありますので、社員に優位な 判決が出ることも予想されますね。
職務発明の正当な対価の計算はどうあるべきでしょうか 投稿者:特許島民  投稿日:10月 4日(金)21時37分23秒 なかなか、答が出ない問題ですが、日本の産業のためにも重要な問題ですので、具体的にこの場で検討してみませんか? 他社にライセンスした場合には、特許の貢献により企業が得た利益がきちんと数字になるので、発明者が受けるべき対価は、計算しやすいのですが、他社にライセンスしていない場合が問題です。 ライセンスした場合でも、クラスライセンスの場合や、他の多くの特許と一緒にしてまとめてライセンスした場合には、対価の計算が困難になります。
それは難しいですね/レスです! 投稿者:ペンクロス  投稿日:10月 5日(土)00時37分25秒 企業知財部員が集まる某委員会で、特許島民さんご指摘の問題について検討中と聞いて おります。 うちの会社は職務発明の対価の計算等に関しては、かなりリーダーシップを取っている ようで、既に基準を作成しているようです。ただ、残念ながら、ここに書き込みことは できません。 なお、私の友人は職務発明に関する本を共同で編集して出版していますので、来週までに 入手して読んでみようと思います。 私個人の知識では、ちょっと回答できませんねえ。難しい。。。 特許は急に化けるものですから、お寿司屋さんでいえば「時価」ってとこでしょうか? その時価をどう決めるかってことですよね。難しい。。。
特許で企業が得た利益の計算と、職務発明の対価 投稿者:特許島民  投稿日:10月 6日(日)01時25分32秒 ベンクロスさん、問題点を分析して、考察すべき命題を挙げてみました。職務発明に関する書籍にどのように記載されているかも興味深いですが、困難な問題であることだけは確かです。 命題1: 職務発明の正当な対価は、発明者が所属する企業がその発明によって得た利益の関数になるべきであるか? 命題2: 発明の活用によって得た利益を基準にすべきか、発明から得られた特許権の活用によって得た利益を基準とすべきか?  命題3: 正当な対価かどうかは、発明者である従業員と、雇用主である企業という当事者の交渉で決めることが可能なのかどうか? 命題4: 特許の価値は、代替技術の発生などにより時間と共に激変するのであるから、将来を含めた評価は不可能ではないのか?
その発明により使用者等が受けるべき利益の額 投稿者:特許島民  投稿日:10月 6日(日)01時41分18秒 特許法35条4項 前項の対価の額は、その発明により使用者等が受けるべき利益の額及びその発明がされるについて使用者等が貢献した程度を考慮して定めなければならない。 「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」ということは、特許出願しなかった発明に関しても発生する利益だと思いますが、どうでしょうか?
特許法35条4項/レスです! 投稿者:ペンクロス  投稿日:10月 6日(日)10時28分04秒 【特許島民さんへ】 まずは、35条4項に関してです。 〔結論〕 「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」は、特許出願しなかった発明に関しても 発生する利益と解釈できると思います。 〔理由〕 35条3項では、「特許を受ける権利」の承継も含まれております。この権利は、発明が 完成した時点で発生しますので、特許出願の有無は関係ないことになります。 使用者は、特許を受ける権利を承継した後、特許出願せずに、ノウハウ化する場合もある と思います。 〔現状〕 ですが、多くの企業における対価支払いの規定では、特許出願されているか、あるいは 権利化されていることが条件になっているのではないでしょうか? 特許による保護がなければ、独占実施を確保できず、他社の参入もあり得るからです。 また、実務的にも、特許出願した場合に特許を受ける権利を譲渡していると思います。 しかし、コカコーラの製造法のように、ノウハウ化して、かつ大きな利益を出している 場合もありますので、特許出願していない場合であっても、対価は支払われるべきである と思います。
発明の技術としての価値 投稿者:特許島民  投稿日:10月 6日(日)10時58分20秒 発明には、技術としての価値と、権利としての価値の2つがあると思います。 35条4項の規定の「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」というのは、技術としての価値と権利としての価値の両方を含んでいると考えます。すなわち、従業員がした発明を自社商品に応用したが、特許出願はしていなかった。自社商品を購入した者にとっては、その技術は一目瞭然の内容であるので、自社商品が販売された時点で、ノウハウには該当しなくなった。しかし、その発明の技術を活かした自社商品はその発明のもたらす素晴らしい機能と性能のおかげで爆発的に売れ、その会社の莫大な利益をもたらした。こういうことも多々あると思います。そうすると、ノウハウとしての価値でもなく、特許としての価値でもない発明の価値として、技術としての価値があると思います。特許法35条4項は技術としての価値についても、相当の対価を支払うべきだとしていると思います。
命題/レスです! 投稿者:ペンクロス  投稿日:10月 6日(日)11時19分01秒 【特許島民さんへ】 引き続き、命題に関してです。個人的見解にすぎませんので、ご了承下さい。 命題1: 職務発明の正当な対価は、発明者が所属する企業がその発明によって得た利益の 関数になるべきであるか? →自社実施による利益、他社実施によるロイヤリティ利益など、利益はさまざまですが、 個人的には、対価は企業が得た利益の関数になるべきであると考えます。 目に見えにくい利益(巨人の川合が粘ってフォアボールを選んで、松井につなぐような利益) は、ボーナスや昇格などに反映させることで十分と考えます。 命題2: 発明の活用によって得た利益を基準にすべきか、発明から得られた特許権の活用 によって得た利益を基準とすべきか?  →これは35条4項の問題と同じですね。条文の理念から言えば、前者を基準にすべきでは ないでしょうか。 ただし、特許権で保護されていなければ、独占実施ができないわけですから、利益は年々 減って行くおそれがあるでしょうね。 あと、特許出願しない場合でも、きちんと特許を受ける権利を譲渡するシステム(発明者が 誰であるか明確にしておくシステム)がないといけませんね。 命題3: 正当な対価かどうかは、発明者である従業員と、雇用主である企業という当事者 の交渉で決めることが可能なのかどうか? →青色発光ダイオード訴訟の中間判決文では、対価は社内規定にかかわらず、裁判所で決める ものというような文章があります。したがいまして、従業者側は当然、企業側と交渉する権利 があるのではないでしょうか?個人的にも、そうあるべきと思います。 たしかに、今ある世間の報酬制度は、特許島民さんが研究者であった時代に比べれば、遥かに 充実していると思います。 しかし、依然として企業本位なもの、あるいは事実上、数千万円賞与なんて発生し得ない条件 になっているような気がします。はたして、それで有能な研究者の流出を防げるのでしょうか? 命題4: 特許の価値は、代替技術の発生などにより時間と共に激変するのであるから、将来 を含めた評価は不可能ではないのか? →4つ下に書き込みましたが、特許の価値は「時価」であると思います。したがいまして、 いっときに評価を確定させるのではなく、例えば、1年毎に自社の実施状況、他社動向などを 十分検討して、評価すべきと思います。ただ、そのような評価を行うには時間も人も必要 になりますので、難しい面はありますね。社長が重要性を認識しているかどうかですね。 命題5: 結局は、マーケットが価値を決めるという仕組みが必要になるのではないか? →おっしゃる通りです。自己(自社)評価と他人(他社)による評価の総合評価であるべきと 思います。何年かすれば、気象予報士のように、特許診断士が現れるのではないでしょうか? 発明評価もそうなんですが、業績評価時代に突入した今、個人の能力評価もそうあるべきと 思います。 プロ野球の世界では、1つのバンドの価値なども細かく評価されているようですが、報酬額が 大きくなるほど、緻密で、公平な評価が必要ですよね。 今後、特許島民さんが新たな発明評価システムを作られるのであれば、ビジネスモデル発明 として、特許出願しておいた方がいいと思います。アイデアもお金になる時代ですからね。 あと、対価の額が大きくなればなるほど心配しなければいけないのは、会社の人間関係の 悪化ではないでしょうか?また、研究者間での発明の隠匿なども懸念されます。 職務発明とその対価の問題には、色々な課題があると思います。
マーケットでなければ発明評価はできないか 投稿者:特許島民  投稿日:10月 8日(火)13時57分38秒 ベンクロスさん、詳細なレスをいただき、ありがとうございました。しかし、本当に「正当な対価」とは、どの程度かを決めるのは困難です。絵画の値段をきめるのも困難でしょうが、それ以上に発明の価値評価は困難です。やはり、マーケットが必要です。しかし、マーケットの仕組みをどうするかが問題です。競り売りの仕組みがいるのでしょう。
発明評価/レスです! 投稿者:ペンクロス  投稿日:10月 9日(水)01時12分49秒 【特許島民さんへ】 例えば、ある特許に対してライセンス申し入れがあって、ライセンスを付与した場合でも、 実施権者がその特許発明を利用して本当に開発品を出せるかどうかは分からないと思います。 ライセンスを1件付与したという評価はできますが、業界において本当に価値がある発明か どうかは未だ不明と思います。 でも、休眠特許を活用するためにオンライン上で特許を売るシステムが既に存在して いるようですが、休眠特許に限定せず、特許全般に行うのもいいかもしれませんね。 日本の企業の場合、特許を売るという作業がとても下手なように思えます。 1つの特許を評価するのは、まさしく何頭も掲載されているパンフレットを見て、 馬の評価を行うのと同じです。 馬1頭選ぶのに、ものすごいデータ分析をします。単なる趣味ではなく、先見の明 を養う手段でもあるんですよ(笑)。事業家が馬主になることが多いのも、同じ 理由だと聞いたことがあります。余談ですけど。
田中耕一氏の報奨金は1万1千円なり。 投稿者:ペンクロス  投稿日:10月10日(木)22時51分56秒 ノーベル化学賞受賞の田中氏への報奨金は出願時の5000円、登録時の6000円だけ だったようですね。 慌てて島津製作所は報奨金の検討を始めたようですが、発明の価値の正当な評価ができて いなかったことが世界中にバレてしまった感じがしますね。 ノーベル賞と企業の利益の判断基準はかなり違うと思いますが、タイムリーな話題でした
田中さんは味のある人ですね 投稿者:特許島民  投稿日:10月12日(土)13時49分12秒 新聞で見てますと、田中さんは淡々とした研究者ですね。しかし、社内は田中さんの処遇をめぐって騒動でしょう。人事部などは、人の評価能力を厳しく問われているでしょうし、特許部も発明の評価能力を問われているでしょう。
島津の変/レスです! 投稿者:ペンクロス  投稿日:10月12日(土)22時22分30秒 【特許島民さんへ】 早速、役員待遇への昇格ニュースが出ていますね。 職務発明の評価を一番妨げているのは、日本人の「他人を評価できない・したくない」 という民族性のように思います。昔から輪を重んじてきただけに、業績(発明)評価が 軌道に乗るには時間がかかると思います。個人的には無理と思っています。 そういう意味でも、国を上げて職務発明の評価方法を検討しているのは良いことですね。 評価する方も評価される方も納得できる評価方法が望まれます。 それにしても、今回の島津の変は滑稽に思えます。会社も気の毒と言えば気の毒かも? 職務発明の件については、これからも話題にしていきましょう。
侵害訴訟判決にみる特許評価 投稿者:特許島民  投稿日:10月15日(火)23時08分57秒 特許の価値評価に苦労している分野に、特許権侵害訴訟があります。ある商品の売上げ高に占める特許技術の価値を、損害賠償金の算出において計算しています。一つは、実施料率としての算出ですし、もう一つは寄与率としての算出です。このときの考え方が、職務発明での相当の対価の算出にも使えると思います。実施料率では、発明協会の「実施料率」という書籍に記載の製品分野別の実施料の統計値が重要な位置付けを占めていますし、その特許権者が問題としている特許について実際にライセンスをした履歴があれば、その実施料率も大きな位置付けを占めます。また、寄与率は、その特許権がカバーしている機能が、対象製品の販売や利益においてどの程度の重要性を持つかによって変化します。
特許評価/レスです! 投稿者:ペンクロス  投稿日:10月16日(水)22時16分48秒 【特許島民さんへ】 特許権侵害訴訟での特許技術価値の計算手法は知りませんでした。大変参考になりました。 中村教授の裁判の中間判決では、「対価は裁判所が決めるもの」という文がありました。 そういう意味で、中村教授の裁判において、対価がどのような手法で計算されるか、特許権 侵害訴訟での計算手法が採用されるのか、注目ですね。 ただ、この中間判決における「対価は裁判で決めるもの」というのは、会社にとっても 従業員にとってもベターでないように思います。なぜなら、わざわざ裁判をしなければ いけないからです。特に、大発明をしていない大勢の従業員に対しても給料という先行 投資をしている会社側にとっては、好ましくない中間判決と思います。 やはり、裁判なんか不要で、会社も従業員もお互いに納得できる明確な基準を作成したい ところです。 特許訴訟判決における計算手法を用いると、中村教授や田中氏の特許技術の価値はどの くらいになるのでしょう?おそらく会社の売上に対する貢献度は、中村教授の方が高い でしょうね。田中氏の特許技術は、会社の利益という点では、そう高くないみたいです。 実際に貢献しているのは、改良特許の方とか。その場合に、田中氏の基本特許をどう評価 するか?これまた難しいですね。 いろいろ考えてみましたが、特許法35条でいう職務発明の対価は「特許の価値」ではなく、 「会社の利益額」と直結させるべきだと思いますし、それが明快であるように思います。 会社における「特許の価値」は、昇級やボーナスで評価すれば良いように思います。 田中氏のノーベル賞はまさしく「特許の価値」に対する評価と思います。タンパク質の 立体構造を解明する技術は、試験研究に使用される技術であって、薬の売上に直接貢献 できる技術ではありませんからね。 なんか、答えになっていない支離滅裂なレスになってしまいました。
参考となる判決 投稿者:特許島民  投稿日:10月16日(水)23時47分31秒 損害賠償金の計算において、実施料率や寄与率の算出の議論をやっている判決を紹介します。 中村教授の裁判の中間判決では、「対価は裁判所が決めるもの」という文は、職務発明における発明者が受けるべき相当の対価は、雇用主と従業員の間の契約や勤務規則で決まるのではなく、特許法35条によって決まるということだと思います。すなわち、特許法35条は強行規定だということです。これが意味することは、裁判所における特許価値評価手法が職務発明の対価計算でも重要だという事だと思います。 http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/Listview01/CB589CD4CE8E211349256A7700082DD1/?OpenDocument http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/Listview01/5E5D3795201E294F49256A7700082CD5/?OpenDocument http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/Listview01/D98CA76CF0E3F1C049256BF8002017E0/?OpenDocument http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/Listview01/D3E9D8C99CBE33E249256A77000EC3B6/?OpenDocument http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/Listview01/A1D21FFD6E8D471D49256BF8002017C0/?OpenDocument
レスです! 投稿者:ペンクロス  投稿日:10月17日(木)19時09分07秒 【特許島民さんへ】 判決のご紹介ありがとうございます。 特許島民さんのお考えと私の考えにすれ違いはないのですが、私の表現の仕方が悪かった ようです。 つまり、裁判所における特許価値評価手法を職務発明の対価計算に適用すること自体は、 私は反対ではありません。 しかしその場合、裁判所における特許価値評価手法で対価を計算するのは一体誰でしょうか? 結局は、会社側(または従業員との話し合い)ではないでしょうか? したがいまして、その手法を適用したとしても、「雇用主と従業員の間の契約や勤務規則」の 範疇に入るように思います。そういう手法を用いることを契約や勤務規則で定めることになる のではないでしょうか? 中村教授の裁判の中間判決の主旨は、特許島民さんのご指摘のとおりと思いますが、同時に 対価を決定するのは司法機関である裁判所であるとも明記しています。 つまり、上記のように裁判所における特許価値評価手法を職務発明の対価計算に適用して対価 が決まったとしても、その結果には法的拘束力はなく、会社または従業員のどちらか一方が 不満であれば、裁判を提起できることになります。その際、裁判所が適用するのは、同じく 「裁判所における特許価値評価手法」になってしまいますけどね。 結局は、全ての会社における全ての職務発明に対する対価を最終的に判断するのは裁判所 である。しかし、それでは訴訟件数の激増で大混乱を招くので、特許島民さんご提案の 「裁判所における特許価値評価手法を職務発明の対価計算」を適用して、準司法的に会社と 従業員の両者(特に、従業員でしょうか)が納得の行くように決定する。ということになる かと思います。 できれば、公正さを保証するため、企業ではなく、中立的な準司法的組織(委員会)を設立 して、計算を委託するのが良いかもしれません。 この職務発明の対価の問題は、国の検討課題でもありますし、また司法制度改革推進本部顧問 会議や民間の委員会が発足されていますので、今後大きな動きがあるのではないでしょうか。
35条の改正と強行規定 投稿者:特許島民  投稿日:10月18日(金)22時52分44秒 ベンクロスさん、確かに職務発明の対価決定の最終的な権限を裁判所にあることが判例として示されましたので、訴訟件数が増えると思います。しかし、判例があるていど蓄積されると、会社側も従業員側も裁判に時間と金をかけるよりは、裁判所での判断論理と同じレベルでおりあうということが、行なわれていくようになると思います。会社の方が従業員よりも立場が強いので、会社に有利な規定を社内で作っている企業がほとんどだということと、職務発明の対価に関する判例が少ないということからすると、当分は訴訟が増えると思います。これは過渡的にはしかたがないことだと思います。今まで、訴訟が少なすぎたのです。裁判では、まだ、特許化された職務発明の対価についてしか争われていません。今後、特許出願もしていない職務発明の対価についての訴訟も発生すると思います。私もライセンス交渉で侵害している相手方が自分たちに有利な実施料相当額の計算方式を示す場合に何度も遭遇しました。特に、寄与率では面白い論理を編み出してくる会社がおおくあります。寄与率の考え方は、職務発明の対価計算でも、侵害訴訟での損害賠償金の計算でも重要ですが、あまり確立された論理がない世界でもあります。
私たちの議論を、Webページに保管しませんか? 投稿者:特許島民  投稿日:10月18日(金)22時54分46秒 ベンクロスさんと私の議論は、この掲示板の特性からして、一定数以上は消えてしまいます。 PatentIslandのページか、どこかのページに議論をコピーして保管しましょうか?
特許戦略/レスです! 投稿者:ペンクロス  投稿日:10月19日(土)00時30分42秒 【特許島民さんへ】 まず、下の記事を読みました。島津にとっては痛いところを付かれてますね。 ホント、これからは企業の特許戦略能力が問われると思います。 職務発明の公正な評価基準が固まるまでは、しばらく裁判という武器で企業と 戦うのが得策ですね。 既に国が職務発明の対価を検討し始めていたところに、タイミング良く田中氏の 話題も追い風となって、従業者有利の判決が続出するかもしれません。 味の素の裁判に注目したいと思います。 この掲示板の内容をコピーして、PatentIslandに保管していただいて 結構ですよ。私も時間がある時に、特許の部屋の特集にアップしようかと思って います。

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